先輩は魔女

私にはとても仕事ができる先輩がいた。
見た目は、おしとやかで、色白で、美人とは言いがたいが、雰囲気はとてもよく、もてた。
が、仕事に入ると私たち後輩にとっては、鬼であり、「もうやめちまえ!」「患者を殺すきか!」「もう、2度と来るな!」と、暴言を毎日のように浴びた。
ある日、送別会があり、私たちは、楽しんだ。別段かわった様子もなく、みな日付けが変わる前には家路についたと思っていた。先輩から、重い言葉をもらった。「A、男はね、愛情2割、金8割だよ」
次の日私は夜勤だった。そこへ、研修医が、ひょこっと顔を出した。
小児科病棟の乳児室にての夜勤であったため、回りは赤ちゃんしかいなかった。
「あれ、先生どうしたの?」
すると、研修医は、ポロポロ泣きながら、「Mさんのおっぱいサイコーだったなぁ。もう、俺捨てられたんだろうなあ」と、赤ちゃんに話しかける。「!!!」Mさんとは、例の先輩のことである。
またか。私は申し送りの時にみた、先輩の首もとにあったキスマークを思い出した。「先生、諦めた方が良いよ。残念だけど」
苦笑した。愛情2割か(笑)
勉強会のスケジュールを組むことになった。
私は先輩と予定を合わせるため、相談した。
「そーねー、いつがいいかなぁ」と、パラッと先輩は、手帳をめくった。
「!!!」
私は目を丸くした。ほぼ毎日、日替わりで私も知っている先生の名字が、記載されていたのだ‼
「みちゃった?内緒ね」と。
お、お、おそろしー!
可愛そうに、男の人ってこういうひとに、騙されちゃうんだなぁと。
その優しそうな顔の裏に隠された魔女を確実に私は捉えた。
その後、先輩は、一番いうことを聞いてくれそうな、開業した一人の医者と結婚し、こどもを一人もうけた。
今でも先輩の話は語りぐさである。
愛情2割金8割か。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です