恐怖!産み続ける女

3ヶ月ほど前、見た感じでは20代後半の母、父とともに、3歳の男の子が、救急外来にきた。二人の清潔な(香水のにおいと、さらさらの茶髪。きれいにネイルもされている)身なりに反して、男の子はお風呂に入っていない匂い。髪の毛はべたべた、鼻水もカピカピで、相当に足を痛がり、その細い大腿部は変形し、反対の足の約1.5倍ほどに膨れ上がっていた。両親は、「ころんでから、ずっと痛がって」と。「いつ転んだのですか」と問うと、「昨日」と、堂々と話す。
男の子は痩せて、顔色も悪く、おびえているのか、体を丸くし、しかし、目は、ギラギラした印象であった。
どうやら、うちの病院に兄弟のカルテがあるようで、私の頭の中に「虐待」の文字がうかんでいたため、ソーシャルワーカーとともに、カルテや、社会関係、状況を見直す。
母は、30代。どうやら、兄弟が6人いる。父と思われた人とは、結婚はしておらず、いわゆるパートナー。兄弟の父は、4人目!!
しかも、一人も育てておらず、全ての子が、施設に預けられていた。
「どんな感じで転んだんですか」
男の子は痛いという以外は言葉を発せず。「階段からおちて。。」と、母。そのわりには、大腿部以外は傷もない。パートナーは、黙って腕をくんでいる。
保険証は、生活保護。母のバッグは、ルイヴィトンらしい。またか。みなで苦笑する。生活保護で、ブランド品や、車、ディズニーランドの年間パスポートさえ持っているというはなしも、ざらである。
「とりあえず痛がってるし、レントゲン早くとって痛みをなんとかしてもらおうね」私は母と男の子に話しかけた。
結果、大腿頚部骨折。通常、老人が、転倒したさいに、よく起こる症状であり、ましてや、体の柔らかい3歳の子におこるなんて、聞いたことがない。他に擦過傷なども、見受けないのはおかしい‼
「先生これって。。」「うん、ふんずけられたのかな」「。。。」
私は3歳の子に話しかける。「パパとママ、好き?」虐待をうたがったときなどに、よく使う言葉で、反応を見る。「。。。」反応なし。表情も、あまり変わらない。痛みで話を聞くよゆうもないのかな。「ご飯いつ食べた?」「。。。」「お名前は?」「あ。。」
「あ?」それ以上男の子は話さなかった。
「レントゲンから、戻りましたよー」いつものように家族へ声をかける。「あれ?!」家族がいない‼忽然と姿を消していた。あたりを探すが、全く気配すらない。「サイテー」私は小さな声でつぶやいた。
男の子は入院し、治療をうけた。そして、また、親の育てられる能力がないと施設に送られていった。骨折は、誰にやられたのか、結局わからず。男の子は、閉ざされた空間にいたためか、ほとんど、話せない。親とは、連絡はとれたが、転倒と一点ばりであった。私たちのあいだでは、施設に行けてよかった、と口々に言い合った。
そして、先日。ソーシャルワーカーさんから、連絡が、入った。あの母は、また、次の子ができたらしいと。

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