採血50人の前夜

明日は採血のフォローに行くことになっている。2時間で約50人って聞いたが、受診者は若い人ばかりだから楽勝だと思う。

幸いと言っていいのか、私が採血を担当した患者さんや受診者さんは、迷走神経反射を起こしたことがない。他のナースに聞いてみると、結構みんな体験しているよう。

でも、なぜか私はゼロ。一応、採血が苦手という人には、横になってもらったり、マニュアル通り採血中の観察項目や行っているので、予防になっているとしても7年採血し続けてゼロ。

もちろん、患者さんにとってはないに越したことはない症状だけど、なんとなく寂しい気がする。明日はどうかな。

新人の時、最初に患者さんに採血した時は緊張した。こっちが倒れそうなほどだった。しかも、怒られたのを覚えている。
結核疑いの患者さんで、80歳の男性だった。血管も細いしもろくて、指導係のT田Nsはなぜ新人の初採血にあの人を選んだのか謎である。

案の定失敗したので、その患者さんに「下手くそ!なんでお前みたいなやつが看護婦なんやー!」と怒鳴られた。私はひたすら頭を下げた。指導係も一緒に謝ってくれて、その患者さんはなんともう一回させてくれた。

ビクビクしながら穿刺。「やった!入った!!」無事採血できた。
ありがとうございました、と頭を下げた私の前で、患者さんはこちらを一瞥もせず、少し息を乱しながら(怒ったし、嫌な採血を2回もされたため)、無言で目を閉じた。

退室した後を奥様が追いかけてきた。
「申し訳ありません。病気が言わせてると思ってこらえてやってください」

もちろん、私たちも改めて謝罪した。
その後、あの患者さんは私をなぜか可愛がってくれるようになった。刺青もあるやんちゃな人だったが、注射だけは嫌で嫌で仕方がなかったらしい。

明日、久しぶりにたくさん採血を思うと、あの時のことが思い出されて懐かしくなってしまった。

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